1997年7月14日(月) Doğubayazıt ⇒ Van 晴
朝7時半のドルムシュにてVan(ワン)へと出発。またも狭いドルムシュでの旅だったが、なかなか素晴らしい景色を見ることができた。10:30にはVanに到着。デニスとティナはそのままVanに泊まらずに、カッパドキアに向かうのだそうだ。再会を期して別れる。無口なカップルだったが、良い人たちだった。
ホテルは、トラブゾンで出会ったKさんの情報からHotel Aslanに宿泊。ボロボロの部屋だが、わりと清潔で安いのでここに泊まることにする。
まず食事をとり、ツーリストインフォメーションに行くが閉まっていた。それでホシャップ城行きのドルムシュ(乗合バス)に乗り込む。が、人が集まらずなかなか出発しない。約1時間待って、一度出発したのは良いが、また、30分ほどうだうだする。そしてやっと、今度こそ本当に出発。
紛争地帯のHakkaliに向かう道だけに、軍の警戒が厳しい。ここだけではなく、ウードゥルを越えたあたりから、軍のチェックポイントがどんどん増えてきている。1度などは、男性は全員バスの外に並ばされて、ひとりひとりチェックされたこともある。
しかし、このあたりは自然が雄大だ。素晴らしい自然の風景を見ることができる。Vanからは1時間。早めに行動したつもりなのに、ホシャップ城に到着したのは15時頃になった。Vanからは60kmの道のりだった。
このホシャップ城は1643年に建てられたクルド人の城だ。石と共に、大量の泥レンガが使用されているため、時と共に風化が進み、また雨に流されたりで、かなり破壊が進んでいる。


入口の老人と子供に入場料を払い中に入る。この城門の入口にあるライオンのレリーフが素晴らしい。この遺跡まで来る人は少ないのか、城内には人影が見えない。澄んだ空気と、空の青と、崩れかけた城壁が、空しいような、不思議な感情を抱かせる。そして時々風が吹く。何とも言えない一瞬に思える。

城内では、2人の子どもだけに出会った。大きい方がコーランの節を独唱していた。朽ち果てた城に響くコーランのメロディ。異国情緒をかきたててくれる。
帰りはドルムシュとばかり思ったのだが、実は一般の人の車で、意図せずヒッチハイクのような形でチャウシュテペ(紀元前8世紀に建てられた城。楔形文字が残る。)に向かうことになった。だが、時間も17時近くになっており、彼らが言うには、17時以降はドルムシュもなく、遅くなれば非常に危険なのだそうだ。特に軍の検問が厳しくなり大変なので明日にしろと言うので、それに従うことにする。
途中、岩山の上に建つチャウシュテペの城壁を見ることができたので、それで良しとすることにする。乗せてくれた人とはトルコ語で会話をする。と言ってもトルコ語はわからないので、大部分が辞書をやりとりして会話をする。面白いもので、それでも何とか話は通じるものだ。自分よりもはるかに年上だと思っていた彼らだが、ひとりは31歳、ひとりは30歳、あとは年下と年齢不明だった。日本に居れば間違いなく40歳以上にしか見られないだろうと思う。非常に親切な人たちだった。そして期せずして帰りのバス代が浮き良かった。
町に到着後は、そのままドルムシュに乗り換え、今度はワン(Van)城に向かう。この城は紀元前855年に、ウラルトゥ王国のサルドゥール1世(アルメニア人)によって建てられたものだそうだ。とにかく岩山に沿って1.5kmは続く巨大な城跡だ。

登ってみると思った以上に急傾斜の岩山の上に建っており、少し怖くなるほど高く感じる。城壁の向こう側には草原が広がっていたが、あちこちに住居跡のような窪みがたくさん残り、また、モスクや塔が4つほど離れて建っている。
岩山の上で夕陽を待つ。白から見るワン(Van)湖と、遠くにはアララット山、そして真っ赤な夕陽。ドラマチックな景色が広がる。城の下の草原には牛や羊が放牧されている。そして昔ながらの馬車が走って行く。タイムスリップしたような気になる。
帰りは地元の人のトラックの荷台に乗せてもらって、町の中心近くまで行く。夕食を済ませ、ホテルに帰る。エトロカンタというレストランに行ったのだが、安くて本当に美味しい料理だった。料金の安さ、雰囲気、食事内容とウェーターの雰囲気など、もしかしたらこれまでのトルコ旅行で一番のレストランだと思った。
本日の支出 約14.5USD
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