1997年6月9日（月） 曇り⇒晴れ⇒雨
朝食前に洗濯をして干す。今日は晴れそうだ。
宿を出てEMINONUまで歩き、99番のバスでエユップへと向かう。10分強ほど走ったくらいで到着。エユップのモスクを見学する。
ここは、1459年に建立されたモスクだ。新しいスルタンが即位する時に、ここで聖剣の授与が行われたという由緒あるモスクで、マホメットの聖戦で殉死した旗手のエユップを奉ってあるそうだ。この地は、イスラム教徒にとって、エルサレムやメッカに次いで、第3の聖地だとガイドブックに載っている。
思ったよりもはるかに小さい聖堂だったが、他のモスクとは一味違って、お祈りしに来ている人が多く、また、真剣に礼拝していた。トルコ中から巡礼に来ているようだった。
聖堂のまわりには墓がたくさんあるが、男性の墓にはターバンを象った石が置かれている。しかしトルコでは墓に猫はつきものなのか？猫だらけだ。ペルシャ猫のように毛の長い猫が多い。
声をかけてきた中学生くらいの男の子たちにピエールロティのチャイハネ（喫茶店）までの道を訊ねる。そしたらうれしそうに着いてこいと言って、みんなで先導してくれた。外国人と話すのがうれしいようで、英語等を使ってコミュニケートしようと一生懸命だ。長い登り坂もずっと着いて来てくれた。むじゃきで明るいトルコの子どもたちだった。チャイハネで一緒に写真を撮り別れる。
チャイハネから見る景色は最高だった。イスタンブール中のモスクが見えるのではないかと言うくらい、有名なモスクはほぼすべてここから眺めることができた。ここまで来ると、金角湾も幅が狭くなり、中洲が自然のまま残されていてなかなか良い。1時間以上もゆっくりするが、飽きることがなかった。
エミノニュまで戻り、バザールを歩いていると、美味しそうなピザを売っていたので買って食べる。卵がかけてあってうまい。
ホテルに帰る途中、ブルーモスクの前でモスクを眺めていると、一人のトルコ人が話しかけてきた。日本語を勉強しているというので話し相手になった。彼の日本語はたどたどしかったが、まじめそうなクルド人だと分かったので、まさか絨毯屋だと思わなかったが、実は絨毯屋だった。彼の絨毯屋に行って、チャイだけ飲んで別れる。商売には向いていないのか、店には行ったものの、ほとんど売る気はないように思えた。
明朝にはイスタンブールを出ようと思うので、宿のオーナーのアリに宿代の精算をしてもらう。
夜はいつものようにDoy Doyで食べる。ここのシシカバブは本当に美味しい。毎日食べても飽きが来ない。
夜は先日のスーフィズムの集会場に、スーフィーの旋回舞踊を見に出かける。中に入ると、たくさんの外国人が来ていた。最初に質問コーナーがあり、その後場所を変えてスーフィーのダンスを見る。15名ほどの男性が、独特の茶のとんがり帽子をかぶり舞台に出てくる。音楽が奏でられているが、座った場所からは弦楽器の人の後姿しか見えない。目の前にはとんがり帽子と黒の法衣、その中には真っ白のシャツとスカートを身にまとった男たちがずらりと並ぶ。
しばらくして彼らが音楽に合わせて踊りだす。左足を塾に左回転でくるくると回り始める。かなりの回転速度だ。両手は横又は斜め上に伸ばし、首を若干右側に傾ける。状態はほとんど姿勢を変えず、下半身だけを使ってくるくる回っている。
年よりの独唱に、また呼吸を激しくするような全員のリズム。そして笛の音が絡む。笛は日本の尺八のような音色とメロディーを奏でている。
独唱の老人がはりあげる歌声は日本の民謡の節に似ている。それにアヒー、アヒーと全員の呼吸でリズムをとる。他には2度息を吸って、一度に吐き出す、その繰り返しのリズムが続く。かなり恍惚状態になっている人もいる。
リズムとメロディに完全に身を任せ、全神経が音楽に集中し、自然に体が動きだす。そして頭の中は真っ白になり、肉体を感じず、魂が音楽そのものと一体化する時のトランス状態。自分でも、昔ジャズを神のごとく思い集中して聞いていた時の状態を思い出す。しかし踊りては目をまわすこともなく、ひたすらに回転している。回転する時、スカートが広がり、ものすごく均整のとれたシルエットが現れる。回転はエネルギーを生むそうだが、パワーが発散されているのだろうか？
そのうち師のような中心人物と、もう一人の高弟子もゆるやかに回転を始める。何だか天体の動きのようにも見える。
今回のスーフィー体験は、前回に比べて観光客が多いせいか、見るのにあまり集中できなかった。前回の方が神秘的なものを感じたが、今日は今日で十分に見ごたえがあった。
タクシーで宿に帰り、明日の準備にとりかかる。
朝から日本領事館に電話したら、ものすごく感じが悪かった。結局婚姻証明なるものは、日本から送ってもらうしか手がないという。
本日の支出 約15.1USD
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