1997年7月15日(火) Van 晴れ
朝から博物館に行く。ウラルトゥ王国(ワン湖周辺を中心にメソポタミア北部からコーカサス南部にわたり、紀元前9世紀から紀元前6世紀にアナトリアの地に存在した王国)の出土品等が展示してある。BC800年代からのこの地方の文明の高度さを物語るような出土品の数々だ。このあたりの昔の人の服装が日本の神話時代の服に少し似ていて興味深い。ウラルトゥの楔形文字の石碑なども興味深かった。
その他は1915年のトルコ人(オスマン帝国)によるアルメニア人殺戮を物語る人骨や写真が展示してあった。頭骨にはいかにもこん棒か何かで殴られて殺されたのだろう、頭骨がひしゃげていたりして、その残虐さを物語る。
博物館の後、写真を現像しようと思ったが、このVanの写真屋には10cm×15cmのサイズの現像ができないので断念。ワン湖に浮かぶアクダマル島(700㎡程度の小さな島)へ行くためドルムシュに乗る。ゲバシュ村を経由して船乗り場へ。トルコ人はピクニックが大好きなようだ。この船にも、水や食材だけでなく、ガスボンベまで用意してピクニックに行くトルコ人ファミリーの姿があった。
船で約15分、アクダマル島に到着。島には915年~921年に建てられたという、アルメニア教会がある。外壁には、素晴らしいレリーフの数々が彫られてある。島の中にある唯一の店でビールと水を買い、もってきたクッキーやお菓子でお昼にする。

お昼の後、丘に登る。ここからの景色はまた素晴らしい。茶色の教会の背後には、まさにカリブ海の色を思わせる青白い後の湖が広がり、その後ろにはさらに茶系の大きな山が聳え、そして青い空がある。カモメが舞い、オレンジに近い色をした鳥、たぶん猛禽類の一種だろう鳥が舞う。花々はもう萎れていたが、あざみ等の種が風で空に吹き上げられる。白い綿が降ってくるようだ。


丘の頂上はかなり高い。前面は少し急だが登ることはできる。しかし、後方は絶壁となっている。目が回るような高さだ。それにしても湖の色が美しい。蟻の巣がたくさんあり、蟻が動き回っている。用意して来なかったため泳げなかったのが残念だが、それでもとても楽しいアクダマル島だった。あっと言う間に時が過ぎて行った。
また、ワンの街に戻り歩いていたら、若者が声をかけて来た。声の方を見ると、このワン(Van)にしかいない、目の色が左右違う子猫を抱いている人がいた。片方が青で片方が金色をしている白猫でとても美しい。世界的に有名な希少種だ。しかし、このワンには何でこんな変な猫が生息しているのだろう。世にも不思議なVan猫だ。

その後、いくつか絨毯屋に行くが、やはり高価だ。買えなかったが、最後の大きな絨毯屋は、我々の予算を聞いてあからさまに態度が変えてきた。仕方ない。絨毯は欲しいが、旅の途中、予算は限られているのだ。
明日のバスの切符を購入し、夕食を済ませ、ホテルに戻る。ホテルの向かいにあるレストランでは、たぶん結婚式と思われるパーティーをやっている。全員が輪になって小刻みに動く独特のダンスがカーテン越しに少しだけ見える。音楽がアラビア風だ。途中で古い音楽もやっていたが、太鼓が刻むリズム等、日本の和太鼓によく似ていてびっくりする。
本日の支出 約18.8USD
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