アジア旅行記 1997年7月22日(火) シリア(アレッポ)

旅日記

1997年7月22日(火) Aleppo  晴

朝はゆっくりと寝る。だが、夜明け前の早朝から、部屋の前の通りは何をやっているのか騒がしい。とてもうるさくて、何度も目を覚ましたので、大して寝た実感がない。今日は古い町並みを抜け、スーク(市場)に行く。途中でオリーブ石鹸を買う。アレッポの名物で世界的に有名な石鹸だ。

スークはトルコのバザールとは趣を異にして、古い面影をよく残している。基本的には石屋根のアーケード街で、ときおり明りとりから漏れる光が独特な雰囲気を醸し出している。狭い道をたくさんの人々が行き交う。ロバに乗った人たちもたくさんいる。両脇には様々なお店が延々と続いている。日本人客も多いのか、結構カタコトの日本語で話しかけてくる人たちがいる。ターバンを巻いた人も多い。香辛料の香りが強烈で、アラブに来たのだなと実感する。

スークを抜け、グランドモスクを探していると、英語を話す男が現れ道を教えてくれた。彼はガイドだと言う。ガイド料を聞いて、グランドモスクを案内してもらうことにする。このモスクは元々教会だったものをモスクに転用してあり、とても古い。トルコのモスクと違い、モスクの敷地に入る時には靴を脱がなくてはいけない。女性はフード付きの上着を着なければ入れない。広大な石の床があり、その向こうにモスクがある。装飾がなかなか美しい。黒い石や茶色の石などを組み合わせて模様を作ってある。

モスクの中に入ると、トルコのモスクとは違い、シリア特有の横に長い建物になっている。モスクの床には必ずある絨毯が敷かれていないのでガイドに尋ねたら、夏は暑いから取り払ってあるのだと言う。修復工事中なので、その影響もあるのだろう。

モスクは基本的に男性のみが祈りを捧げるところだそうだ。女性は正式な祈りはできないようだ。また、男女でモスクに来ることはなく、男は男、女は女でやってくるのだそうだ。また、結婚については、婚約前に必ず男性の母親がお嫁さんの肉体的、精神的な欠陥がないかチェックをするのだそうだ。それに合格しないと結婚は成立せず、また反対に女性も拒否することができるのだそうだ。結婚式は家庭にもよるが、キリスト教のように必ず教会でやると言った考えはないようで、モスクで結婚式をやる必要はないのだそう。シリアは社会主義国だが、キューバのように配給もなく、貧富の差もあり、また、職業選択の自由ももちろんあるのだそう。シリアでは、結婚すると、平均4人~5人ほど子供を持つそうだ。その他、キャラバンサライやキリスト教会だった面影を残すモスク等に連れて行ってくれた。ガイドに案内してもらったおかげで、シリアのことがよくわかり有意義な時間を過ごすことができた。

ガイドと別れて、キリスト教徒地区にある、2つ星レストランで食事をとることにする。ガイド氏によれば、キリスト教徒は20%もいて、彼らはムスリムとは違う服を着て、違ったしゃべり方をするので、すぐに区別することができると言っていたことを思い出す。トルコ、シリアと通して、初めて高級レストランで食事をする。店の内装が落ち着いていてすばらしい。日本だったら、相当高い料金になるのではないだろうか。豆のパテ(ホンモス)、生オレガノとチーズのサラダ、ドルマ、ミラネサチーズサラダ等の前菜が美味しい。メインはサクランボのソースで味付けをした羊のミートボール。砂糖が入っていて甘い。珍しい味で大満足。ただ、大量にあると飽きるので、ミートボールは2~3個くらいでちょうどよいように思う。食事中にシリアビールを飲む。大瓶でアルコール度数は12度もあった。強くて美味しいビールだった。ところで、このレストランは地下に洞窟風のおしゃれなバーもあった。

食事の後、ホテルに戻る途中でアンティークショップに寄る。このアンティークショップは2階にあり、外にいろんな金物や人形等が置いてあり、異様な感じがしたが品ぞろえは豊富だった。

ホテルに帰り、ハマム(公衆浴場)ツアーへ。まず妻が女性ハマムに行き、それから僕は男性用のハマムに連れて行ってもらう。ハマムの入口を入ると大きな待合室があった。ゆったりと横になれるソファーが置いてある。服を脱ぎ、風呂場へと行く。サウナとばかり思っていたが、そうではなく、お湯がはられた浴槽がある。個室のような洗い場があり、そこでお湯をためながら体に洗面器でお湯をかける。その後マッサージ。三助(江戸時代の銭湯等にいた体をあらってくれる人)さんのような人がいて、その男性から体を洗ってもらうのだが、かなり抵抗があるシチュエーションだ。垢すりをやってくれるのかと思ったのだが、そうではなく、何かの繊維の塊のような物で、柔らかく体を洗いながらマッサージもやってくれる。指圧ではなく、指先に力を入れて、おもむろに手の先から脇の下あたりまで、ツボの線に沿って、指を滑らせるようにマッサージをしてくれる。足も同様。背中はつまんだり、たたいたりしていた。体はほぐれて気持ち良かったが、やはり全くの他人から体を洗ってもらうのは、少しばかり抵抗を感じる。

その後、また体を洗う。オリーブ石鹸はなかなか良い。タオルはいくらでも貸してくれる。上がってから待合室で寝そべる。迎えが来るまで1時間半もあるが、のんびりと過ごす。予定より5分ほど遅れて妻と宿の人が迎えに来た。そんなこんなのハマム初体験だった。

夕方に散歩をする。新市街の方を歩くが、こちらはスークの混沌とうって変わって、街が整然としている。ショーウィンドウには、ものすごく高価であろう椅子やタンス等が並ぶ家具店がずっと続いていた。食事は昨夜と同じところに並ぶが、別な店で食べた。安くて美味しかった。

本日の支出 約26.7USD

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