1997年8月1日(金) Damascus ⇒ レバノン Beirut 晴れ 時々 曇
今日から8月。7時45分発 Transtourのバスでベイルートに向けて出発。約1時間弱で国境に到着。出国審査を受ける。どこも役人というのは愛想がよくないようだ。バスの車掌を通して、賄賂をよこせと言ってきた。Why?と言ったらそれ以上は要求してこなかったが、とても感じが悪い係員だった。シリアの出国審査から2~3kmほどだろうか、今度はレバノンの入国審査が待っていた。20分以内に戻って来なかったら、バスは行ってしまうというので急ぐ。昨夜、日本人2人に聞いた情報に従って行動するが、手順が変わったらしく、入国カードを書いて、それにスタンプを押してもらい、また戻ってVISAを発行してもらうという順番だった。この入国カードにスタンプを押してもらうのに手間取ってしまった。時間内にはもう厳しいかもと諦めかけた。係員はまたしても感じの悪い奴で、口出しする申請者を怒鳴り散らしていた。やっとカードにスタンプが押され、別のところでVISAをもらう。25,000レバノンポンドか18USD。お金を支払い15日間のVISAをもらうことができた。急いでバスに戻る。まだ終わっていない人もいて、ホッとする。この入国審査前の道路は非常に混雑しているので、戻ってからも立ち往生する始末。結果から見れば、それほど慌てることもなかったのかなという感じがした。
レバノンに入ると急に山がたくさん見えてきて、緑も豊かになる。空がとても青い。国境から途中20分ほどの休憩があって、ベイルートのコーラに到着。約1時間半の道のりだった。
ベイルートに近づくにつれ、建物に生々しい銃弾の跡が無数に現れてくる。いまだにそのままになっていて、レバノン内戦(1975年~1990年)の凄まじさを物語っている。途中の丘には、戦車等も配置されていた。


セルビス(乗合ワゴン車)で中心街のハムラ通りに向かう。ドルしか持っていなかったので、少々トラブる。まずは宿探し。安宿はほぼない。一度アメックスに行って、トラベラーズチェックからドルCashにすることについて訊ねに行くが、閉まっていた。だが、中に社員がいて、一律2ドルのコミッションでドルキャッシュにしてくれるそうだ。(8時半~12時)
宿はハムラ通りの中心、Moonlight Hotelに決める。1泊24ドル也(1室)。
宿を出て、旧市街に行く。このハムラ近辺は復旧しているのか、それほど影響を受けなったのか、ほとんど内戦を感じさせるものはない。ヨーロッパのどこかの街にいるかのように感じる。だが、少しずつ旧市街に近づくにつれて、唖然としてしまう。建物はハチの巣のように銃弾を撃ち込まれ、時には大砲でぶち抜かれてしまった建物もある。どんどん中心部に近づくにつれてさらにひどくなる。今、復旧工事が急ピッチで進んでいる。破壊された建物を取り除き、新しくビルを建てるための用地をつくったり、道路をつくったり、それこそ見渡す限り、いたるところで工事が進んでいる。凄まじい景色だ。その中に、まだポツンとボコボコに破壊されたビル等が聳え、一種異様な感じが漂っている。エトワール広場まで来て、工事のためにそれ以上先には進めなかったのだが、戦争と近代兵器の威力に背筋が寒くなるような思いがした。それからロンドンにいた時の友達、レバノンのジョンもこの渦中にいたのかと思うと、他人事とは思えない感慨があった。絵葉書の写真は、昔の素晴らしいリゾート地の面影を伝えているが、その写真と目の前に広がる景色、特にホリデイ・インホテル近辺の変わりように言葉を失ってしまった。美しい大ホテルが、弾丸と砲弾で完全に廃墟と化していた。海沿いに出ると、ずいぶん明るい雰囲気になり、ハードロックカフェの前ではバンジージャンプが行われたり、ローラースケートを楽しむ子供等で賑わっていた。この一歩裏手はゴーストタウンだと言うのに。
15番のバスでコルニーシュ通り(海岸通り)を行く。道の真ん中にはヤシの並木が続く。海が美しい。これが同じ街の中なのだろうか。ハトの岩でバスを降りる。レバノンもこのあたりの例に漏れず、美しいはずの海岸はゴミが散乱している。残念なことだ。いろんな国からのツーリストで賑わっていた。
キュリー夫人通りを進む。途中、ものものしい警備の屋敷があったので、何だろうと中をじろじろ見る。それから数分後、目の前に4人乗りの4輪駆動車が停まる。人が下りてきて、我々の荷物を検査し、パスポートを調べ、職業その他、いろいろと職務質問を受ける。私服の警察だ。屋敷をじろじろ見ていたので、不審人物だと思われたらしい。または、1972年にテルアビブ空港で自動小銃を乱射した岡本公三らが先日捕まった件での赤軍関連と間違われたか?いろいろと想像が渦巻く。
夜は久々の中華に行く。味はまあまあだったが、量が少なく、16%のサービスチャージと、2000レバノンポンド(約1.3USD)の席料が勝手につけられていて腹立たしい思いをした。
本日の支出 約14.5USD/1人
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