令和7年1月東北旅行③ 東鳴子温泉~肘折温泉

令和7年1月19日(日)東鳴子温泉(宮城県)~ 肘折温泉(山形県)

東鳴子温泉を堪能した後、今日は山形県最上郡大蔵村にある肘折温泉へと向かう。陸羽東線は昨年の7月の大雨による被害で鉄道は復旧していない状況のため、鳴子温泉駅から新庄駅までは代行バスが運行している。

東鳴子温泉は、鳴子御殿湯駅なので、隣の鳴子温泉駅まで行かなくてはいけない。朝から宿のご主人が鳴子温泉まで送ってくれた。感謝。

8時55分発の代行バスは、陸羽東線に沿った国道47号線を走り、途中の駅で旅客の乗降がある。山間部を通るので積雪がすごい。九州の人間から見たら、東北に住む人たちの生活は本当に大変だと思う。土地は深い雪で覆われている。除雪が行われているところは大丈夫だろうが、広大な雪原は歩くことも難しいだろう。除雪がなされている道も、舗道は雪がうず高く積まれているので、車道を歩くしかないのではないか。昔はこの雪の大地で、どのように食料を確保していたのだろうか。漬物や発酵食品が命をつないできたのだろうか。私のような南の人間にはその現実がなかなか想像できない。

途中、赤倉温泉や瀬見温泉等、有名な温泉場の駅を通り、10時40分頃に山形県の新庄駅に到着。新庄駅のコミュニティスペースでは、手作りクラフト品などの販売イベントがあっていた。外を散歩すると、あまり飲食店はないが、中華屋さんやラーメン屋さんがあって、鳥モツラーメンや味噌ラーメンの文字が見えた。時間がなかったので、店に入る余裕はなかったのが残念。

11時15分発の大蔵村営ゆけむりラインのバスで山間部にある肘折温泉に向かう。1200年の歴史ある温泉だ。江戸時代には、月山をはじめとする出羽三山への登山口として、多くの参詣者を集めたのだそうだ。しかし、バスの中から見た景色は、本当に雪雪雪。完全に雪国だ。道路はほとんどアイスバーンと化していたが、バスはものともせず、ガンガン走っている。南の人間からしたら信じられない。旅の計画段階で、大蔵村役場に電話をかけ、雪の中バスは本当に走るのか確認をしたほどだ。そんな心配は完全に不要のものだったことを思い知る。雪国の運転手は凄すぎる。

肘折温泉の入口は、山の方から下っていくので、雪景色の肘折温泉街が眼下に広がり、とても美しかった。素晴らしい景色だった。

肘折温泉は鄙びた感じはあるが、結構大きい温泉街なのだなと思った。バスは、温泉街の2か所に停まり客を下ろしてくれる。私は3か所目の終点待合所で降りた。すぐ目の前に、今日宿泊する、ゑびす屋旅館があった。まだ12時過ぎだったので、荷物だけ置かせてもらおうと宿に入る。そうしたところ、もう用意はできているのでということで、チェックイン前時間前にも関わらず鍵を頂いた。ここのお風呂は混浴だと言う。でも、女性専用のお湯があるので、名目は混浴となっているが、ほぼ男風呂と思ってよいと言うことで、心配なく入ってくださいとのことだった。昔の当時宿の面影を残すために、混浴という文化を残しているのだとどこかのネットに書いてあった。

荷物を置き、街を散策する。まずは腹ごしらえ。ラーメン屋さんや蕎麦屋さん、定食屋さんなどがあるようだが、街はずれにある“そば処寿屋”で昼をとることにする。ざるそばと天ぷらのセットを頼む。それと昼間っから地酒を楽しむ。蕎麦屋さんお薦めの、地元 小屋酒造の花羽陽。外の雪景色を楽しみながら酒を飲む。天ぷらがとても美味しい。そばもうまい。幸せな気分になった。

蕎麦屋さんに。1.5km程度離れたところにある黄金温泉カルデラ温泉館まで歩いて行けるか聞いたところ、今日は晴天だし問題ないという返事を頂いたので、歩いてカルデラ温泉館に向かう。途中の道は除雪してあるが、道の脇は除雪した雪が、自分の身長よりも高い壁となっている。道はアイスバーンのようになっているが、車がたまに走りさる。地元の人は、ふつうに車を走らせているが、よくこんな雪道を走ることができるなと驚いてしまう。

途中にある家などは、ホースに何か所も穴をあけ、放水して雪を溶かしている。今日は天気が良く、気温もそれほど寒くはないので、雪が溶けているのか、この放水の水と溶かされた雪の水なのか、側溝にはかなりの水が流れている。

滑らないように雪道を歩く。今日は素晴らしい快晴で、雪景色と空のコントラストが素晴らしく美しい。雪景色を心から堪能しながら、雪道を進んでいく。カルデラ温泉館は温泉街よりもかなり高い場所あるので上り坂が続くがとても楽しい。

約30分かかり、カルデラ温泉館に到着する。露天風呂はひとつしかないので、時間によって男女が入れ替わるのだが、行った時間は女性の時間だったので、内湯だけ入ることにする。若干泥色のお湯で炭酸泉。気持ちが良かった。飲泉できる場所があり、そこには神棚が祀ってあり、神秘的な雰囲気があった。料金は550円。

帰りも歩きで肘折温泉街まで降りていく。肘折温泉に着くと、こんどは“いでゆ館”に入る。街外れにある、公共の温泉だ。こちらも泥色のお湯で泉質は炭酸水素塩泉。こちらは、外に面して大きなガラス張りになっており、外の雪景色がガラス越しに目の前に広がる。素晴らしい演出だ。素晴らしい景色を眺めながらの入浴を楽しんだ。料金は500円。

次に温泉街の中心にある共同浴場“上の湯”に入る、料金400円。こちらは透明のお湯だが、泉質は炭酸水素塩泉。肘折温泉は炭酸水素塩泉のようだ。昔ながらの共同浴場で、水道などはなく、湯舟のお湯をそのまま汲んで体を洗うスタイルだ。お地蔵さんがあり、そこから源泉かけ流しのお湯が出ている。地元の人たちが多い。ゆっくりとお湯を楽しんだ。

お湯から上がり、カナヤマ商店の角打ちで地酒を飲むことにする。実はこの酒屋さんの角打ちで山形の日本酒を飲むのが、肘折温泉に来たひとつの目的だ。山形の酒は美味しい。利き酒セット3種の地酒が700円で頼める。1セット飲み終え、2セット目を頼む。つまみは、200円~400円程度で、とても美味しいセットを出してくれる。酒盗とクリームチーズを一品。いぶりがっこ入りのタルタルソースをクラッカーに塗って食べるおつまみを一品頼む。両方とも量は少ないが、お酒を楽しむには最高のつまみだった。良い酒屋さんは酒に合うおつまみも知り尽くしているだろうなと思う。

地酒は、1セット目が“花羽陽の純米吟醸酒”、“白露垂珠の無濾過純米主酒”、“栄光冨士の純米吟醸限定酒”。2セット目が、“白露垂珠の純米吟醸酒”、“エイエイ一水の生酒”、“十水の特別純米酒”の3種。やはり山形の酒は美味しい。角打ちはカウンターがあるが、最大4名ほどしか座れないため、30分程度の自主的な時間制限がある。ぐいぐい飲んで席を立つ。最高。

外では雪下ろしがあっており、高いところから雪の塊がバサッと落ちてくるのを見ながら一杯飲んでいたのだが、南の人間には屋根からの雪に埋もれて亡くなる方がいるのが実感としてわからない。しかし、実際に雪下ろしを見てみると、あの雪の塊に直撃されると確実に大けがをするか、下手をすれば命を落とす危険があることを実感した。屋根に大量に積もった雪が体に上に落ちてきたら、多分身動きすらできないだろう。雪の中の生活を経験したことがないので、雪はふわふわと軽いイメージが強いのだが、屋根に積もった雪は氷の塊のように重たそうだ。雪国の苦労を垣間見ることができた。当然雪下ろしの下は通行禁止になっていた。

宿に戻り、宿の温泉に入る。浴槽は小さいが、上の湯とよく似たお湯で身体が温まる。夕食は当時宿なので部屋食。食事をつまみに、カナヤマ商店で買ってきた花羽陽でいっぱいやる。

当時宿なので豪華な食事ではないが、それでもとても美味しく、良い夕食だった。

この宿にはロビーにオーディオセットがおいてあり、JBLのスピーカーでジャズのビデオを流していた。今日は、ラリーカールトンと松本孝弘の2ギターで、東京ブルーノートのライブが流されていた。ひとり旅なので、ロビーでこの演奏を楽しみながら夜を過ごした。

ちなみに、朝はOscar Peterson(p)と、Joe Pass(g)のライブ演奏が静かな音で流されていた。なかなか素晴らしい宿だった。

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