1997年7月26日(土) Tartus ⇒ Crac des Chevaliers 晴れ
クラック・デ・シュバリエ(Qala’at al Hosn)を観に行く。タルトゥスのホムス行バス乗り場より、ミニバスに乗り、約40km地点で降ろしてもらい、今度はクラック・デ・シュバリエ行のバスに乗り換え、約15分でクラック・デ・シュバリエに到着する。何もないところに忽然と姿を現すお城を想像していたのだが、例外に漏れず、この城も急な丘の頂上にあるにもかかわらず、城壁のすぐ下まで街が広がっている。しかし、サラディーン城、マルカブ城と比べて、保存状態は最高に良い。いかにもヨーロッパ人たちが建てたと言うような重厚な壁に囲まれた城塞だ。十字軍が最初にやって来たのが1096年で、1187年にはサラディーンによってエルサレムが奪還されている。この城自体は、1271年にマムルーク朝によって落とされてとガイドブックに書いてあるが、1140年代から1170年にかけての短い期間の中で築かれたもののようだ。この城は、アラビアのロレンスが世界で一番美しい城と言ったそうだが、本当に美しい素晴らしい城だ。

十字軍の城は、どれも形式的にはよく似ている。この城の中には、50年程まで農民が住んでいたのだそうだ。今はあちこちで修復作業が進められている。また、この城からの眺めが素晴らしい。一面に大地が広がっている。城は外の城壁の中に、また、堅牢な壁があり守られている。ちょっと見して、日本の城の構造にも似ている。掘の水がなくなっているので、掘りの底から塔の上まで、40m~50mほどあるのではないかと思うほど高くそびえる城だ。

巨大な馬小屋と、ものすごく広いホールが印象的だった。
妻は、昨日のスイカが良くなかったのか体調が悪く、今日は何も食べていない。連日のハードスケジュールでダウン状態。ふらふらになっている。僕の興味で城等の歴史的な遺跡を連れまわしているので、申し訳なく思う。
歩いていたら、アレッポで出会ったI君に出会う。どうも同じ日にタルトゥスに入って、一足早くホムスに来たようだ。今日はホムスからやって来ていた。彼から、レバノンのビザが、国境にて簡単にとれそうだという情報を得た。そのためには、ダマスカスにて入国手続きをやっておかなくてはならないと言う。ただ、良い情報を得ることができて感謝。
帰りは一度ホムスまで行く。ホムスにある、ハーリド・イブン・アル・ワリッドモスクを観に行く。屋根のドーム部が銀色になっているのが珍しい。モスクの形は、シリアでは珍しくトルコ風だ。中はほとんど装飾がなく、白い壁にステンドグラスがある程度なのだが、絨毯はなかなか居心地が良さそうな感じがした。トルコと違うのは、モスクの入口の外側にも絨毯が敷き詰められていて、アラブのターバンと衣装を着けた男たちがたむろしているところだ。また、男女の入口が分かれていて、女性はモスク用の衣装を身につけなくていけない。

このモスクを観て、またバス乗り場からバスに乗り、100kmほどの道のりをタルトゥスに戻る。遠くに霞でほとんど見えないが、レバノンのコルネット・エッ・サウダ山(309m)と思しき山の頂部分が、他の山々の上に浮かんでいるように見えた。タルトゥスで、いつものピザ屋でピザを食べて帰る。
本日の支出 約10.5USD
コメント