個人旅行では基本自分の身は自分で守らなければならない。だから情報は生命線となる。
旅で出会う旅行者と情報交換したり、宿に置いてある情報ノートには食いつくようにして目を通す。
しかし、毎日刻々と変化するその国の情勢を知るには、やはり地元の英字新聞を毎日読むことになる。
1997年11月17日にエジプトのルクソール神殿で、日本人10名を含む61名の観光客が殺害されるという凄惨なテロ事件が起こった。
実はこの2ヶ月前にカイロの考古学博物館でドイツ人の乗った観光バスが襲撃され、10人が殺害されている。
このカイロの事件が起こった時に、私はルクソールの散髪屋さんのテレビでこのニュースを見ていた。その後この事件は新聞で連日報道され、最初は精神に異常をきたした兄弟の犯行と報じられていたのだが、次第にこの兄弟がテロ組織と関わりのある人間で、前にも外国人観光客を殺害したことなどが報じられるようになると、突然政府が介入して報道統制が敷かれた。
何かあっているなということは薄々感じることができた。
そんな中、辺鄙な場所にある遺跡を歩いているときに、警察から有無を言わさずタクシーに押し込まれてホテルへ帰されたり、地元のバスに乗ろうとしたら外国人だからと拒否されることがあった。
テロの危険があるため警察が動いているとのことだった。何かピリピリした空気が流れていたことを思い出す。
事件の前には前兆があるものだ。何かあるかも知れないと常に情報収集しておく必要がある。
この事件が起こった時、私は既にインドを旅していたのだが、この事件が他人ごととは思えなかった。被害にあわれた方々のご冥福をお祈りしたい。
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