エクアドルにて

南米を旅している時、3ヶ月ほどエクアドルで暮らした。

首都はキト。スペイン風の町並みがとても美しい古都だ。

住んでいたのは、新市街の方で、新しい建物が多い富裕層の多いエリアだった。

3ヶ月間、小さなアパートを借りて住んでいた。当時のエクアドルはインフレがすさまじく、家賃は米ドル建ての現地通貨払いだったため、ドルを現地通貨に両替してから大家さんにお金を支払っていたのだが、わずか100ドル強の家賃の支払いに、マフィアの取引のように何束もの札束で支払った。インフレとは大変なもので、わずか1ヶ月後には、それが何倍かの量に増えており、最後の支払いはスポーツバッグに札束を詰めて持っていった。

国営の電力会社は外資に売られ、地区ごとに分けて計画停電になる。3日に2晩は電気のない生活。ろうそくの光で過ごした。

3ヶ月間も何をやっていたかと言うと、スペイン語の学校に通って、商業通信文やビジネスがらみのスペイン語を学んでいた。毎日個人レッスンを受けて、宿題もたくさん出るのに停電となるので、頼りはろうそくの光。でも、慣れたらなんとかなるものだ。なけりゃないで、なんとかなる。不自由も慣れたら楽しいものだ。

昨夜の仲秋の名月。寝る前に少しでも風情を味わおうと外に出た。外にあるベンチに横になり、月を見ていた。満月の光が本当に明るく、まわりを照らしていた。手相までくっきりと見える明るさだった。

街灯の光が邪魔だけど、なんと贅沢な時間なのだろうなと思った。こんな満月の夜くらい、味もそっけもない蛍光灯を消して、月の光の下で過ごすのも一興だなと思った。迷惑な話かも知れないが、日本全国が電気のない時間を共有するひと時があるとしたら、素晴らしいひと時のような気がする。

何もすることなく、静かに月を眺めるひと時。

時には、文明のゆりかごから、自然のゆりかごに身を移すことも、人として大切な時間だと思います。

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