お盆に思う

もう20年以上前の話だ。叔父が亡くなる前の夜、私は叔父の最後の見舞いに行った。深夜、危篤状態で意識がなくなった叔父に別れを告げて、家に戻ることにした。

病院を出ると、バイクの後ろに、身が軽くなって喜んでいる叔父がいるような気がした。運転中ずっとそんな気配を感じていた。

信号待ちをしている時だった。側道から道を曲がり切ずコントロールを失った車が猛スピードでこちらに突っ込んで来た。正面から突っ込んで来る車に呆然となりながら、ぶつかると思った瞬間、身体が勝手に動きバイクから飛び降りていた。車はバイクのバックミラーに接触してそのまま猛スピードで走り去って行った。もし反対側に降りていたらこの世に居なかっただろう。

何故あの時、習慣的に左から降りるのに、とっさに右側に飛び降りたのだろう。何はともあれ奇跡的に助かった。

ほんのこの前、母から叔父が亡くなった日の話を聞いた。(叔父は母の兄)

叔父は町医者だったのだが、亡くなる前には引退していたので、病院は他の医者に売却していた。ただ町の医院なので、患者さんは新しいお医者さんが引き継いだ形だった。

叔父が亡くなった同じ日の同じ位の時間のことだ。その病院の待合室に居た何人もの患者さんが、白衣を着て階段を上がって行く叔父の姿を見たのだそうだ。叔父の姿を久しぶりに見て、「あら、懐かしいねぇ」と語り合ったのだそうだ。母が人づてに聞いた話だ。

世の中には不思議なことがあるものだ。人が死んだ後どうなるか分からないが、あの晩、叔父が私を守ってくれたのではないかと思う。

お盆にあたり、叔父に感謝の気持ちを伝えたいと思った。

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