1997年のこと。エジプトから飛行機に乗ってインドのデリー国際空港に着いた。飛行機から見る空港のまわりに何やら不思議なものがたくさん動いている。よく見たら、それは牛だった。一国の首都の表玄関である空港を、牛たちが自由に散策している。いきなりのパンチを食らってしまった。
空港からバスに乗ってオールドデリーの中心部に着いた。バスを降りたら、リキシャ(人力車の自転車版)が近づいて来て止まった。運転手がトコトコとこちらに向かって歩いてきたので、当然乗って行けと客引きするのかと思ったら、いきなり道の真ん中にしゃがみこみ、ウ〇コをし始めた。いい大人が、首都の大通りの歩道の真ん中で、気持ちよさそうにウ〇コをし始めたのだ。こんなシュールな光景が世の中にあるのだろうか!ノックアウトされそうになった。
恐るべき、インド・・・
この後インドには2回に分けて、7ヶ月ほど滞在することになる。さすがに、歩道の真ん中でウ〇コしている大人を見たのはこのときが最初で最後だったが、インド到着早々に、ものすごい衝撃を受けてしまった。
インドでこんな衝撃に出くわしたことの意味を考えた。藤原新也さんの「人は犬に食われるほど自由だ」ではないけれど、「人は道の真ん中でウ〇コするほど自由なんだ」と・・・
いかに人間は、尊厳やらプライドやら常識やら、がんじがらめになって生きていることか。”こうでなくてはいけない”という意識の檻の中に囲われて生きていることか・・・
日本では年間3万人もの人が自殺している。
インドに行って、人間って、本当はこんなにも自由なのかも知れないなと思ったら、人生少し楽になったような気がした。
コメント