エコツーリズムとの出会い

1994年一杯でツアコンとして所属する旅行会社を辞め、1995年1月、僕は南米へと旅立った。阪神淡路大震災の衝撃が日本全国を覆っている最中だった。

南米は自然と音楽の宝庫だ。イグアスの驚くほど巨大な滝、凄まじい衝撃で湖に崩れ落ちるカラファテの氷河、広大な雪景色のようなウユニ塩湖、月の景色のようなアタカマ砂漠、etc.

本当に壮大な自然と出会える素晴らしい大陸だ。1年間この南米大陸を旅したのだが、素晴らしいものだった。

その後1年間メキシコで働きお金を貯め、トルコから、中近東、エジプト、そしてアジア諸国を1998年11月まで旅をすることになる。

ところで、エコツーリズムと言う概念に出会ったのは、そんな南米を旅している時のことだった。

エクアドルの新聞で、当時、エクアドル政府が、その最先端の地 コスタリカへと、エコツーリズムの何ぞやを学ぶために、議員や関係者をどんどん視察に送っているという内容だった。あたかもエコツーリズムに国運を賭けているかのような熱心さだった。

この記事で僕は生まれて初めてエコツーリズムと言う言葉に出会った。持続可能性というテーマに取り組んだ素晴らしい旅の形態であり、その将来性と、地域間経済格差や、地球環境に対する凄く面白い提案だと感じたことを思いだす。

メキシコでは、カリブ海のリゾート地カンクンでツアーガイドの仕事に従事した。驚異の透明度60mの海で、スキューバダイビングの通訳兼アシスタントのような仕事や、マヤ遺跡のガイド等をやっていた。

当然、遺跡は素晴らしいのだが、そこにいるイグアナや葉切アリ、道路を横切るタランチュラ等の話に興味を示すお客さんがとても多かったし、古代マヤ文明の宇宙観や、昔ながらの住居に住むマヤの末裔の生活様式などにも興味を示す人が多く、エコツーリズムの楽しさを感じながら仕事をしていたように思う。

「カリブ海の美しさは、石灰岩の大地に雨が浸み込み、地下水脈となり海に流れ込むため限りなく透明度が高く 、力強く成長した珊瑚礁に色とりどりの魚たちを見ることができるパラダイスだ」などと説明していた頃が懐かしい。

また、マヤの遺跡周辺のジャングルの中に、昔から土地の人が打ち身の痛み止めとして使う木があるのだが、枝を折ってにおいを嗅いでみると、サロンパスの匂いがしてびっくりすることもあった。自然の中にはいろんな発見があり、とてもおもしろいのだ。

今、熊本に住んでいて、阿蘇は世界に誇れる素晴らしい自然環境があると思う。この自然資源を大切にして、阿蘇の地にエコツーリズムの花が開くことを願っている。

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