1998年の3月~4月にかけて、ネパールの7千m~8千m級の美しい山々を眺めながらトレッキングをした。アンナプルナトレッキング。
ネパール第2の都市ポカラから、バスで30分程行ったところから山に入る。最初のうちはアップダウンの繰り返す道がきつかったけど、まだ若かったのですぐに慣れ、毎日ただ歩くことがこんなに素晴らしく楽しいものなんだということを知った。
マチャプチャレ、ダウラギリ、アンナプルナの峰々など、その景色の素晴らしさは言葉にできないものがあった。そして、そんな偉大な山を仰ぐ村々に生きる人々の生活。標高が高くなるにつれて、インド系の顔からチベット系の顔に移り変わり、その文化も変化していく。
車が通る道すらない村々を通る。そんな村々にはたいてい1軒~2軒の宿がある。適当な距離に宿があるので、長期間歩くのに荷物はかなり少なくて済むのがありがたい。また、歩いたコースにはいくつか温泉もあったので、疲れを癒すのにとても良かった。欧米人がたくさんトレッキングを楽しんでいるので、宿の食事も洋風メニューがあったりするし、ソーラーのホットシャワーが出るところも多いので、とても快適に旅ができる。
昔、ペルーのインカ道を3日ほどかけてマチュピチュまで歩いたことがあるが、テントや食事道具、食料などが入った重い荷物を背負って山道を歩いた。マチュピチュに到着したときは感動したが、死ぬ程きつかったことが思い出として残っている。マチュピチュトレッキングに比べれば、ヒマラヤトレッキングは天国のように楽しい思い出ばかりだ。
車の道路網が発達していないので、村々に住む人たちは歩くことが移動の手段だ。昔の日本も歩いて旅をした。ところどころに宿場町があり、一日の疲れを癒したことだと思う。ネパールの村々を通っていると、何か古い日本に来たような懐かしさに襲われる。かつての日本の景色を彷彿とさせるものがあるのだろう。時折背中にいっぱい荷物を載せたロバの隊列に出会う。ネパールの国花のシャクナゲの花が咲き美しい。まるで桃源郷に居るような錯覚を覚えてしまう。この土地の自然に完全に魅了されてしまった。死ぬまでにもう一度行ってみたいと思う本当に素晴らしい所だ。
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