エッセイ

お盆に思う

もう20年以上前の話だ。叔父が亡くなる前の夜、私は叔父の最後の見舞いに行った。深夜、危篤状態で意識がなくなった叔父に別れを告げて、家に戻ることにした。病院を出ると、バイクの後ろに、身が軽くなって喜んでいる叔父がいるような気がした。運転中ずっ...

高知県大月町にてシュノーケリング

夏休みをとって、高知県大月町にある大月エコロジーキャンプ場にやって来た。高知県の西岸、宿毛市から十数kmほど南下したところにある海のキャンプ場だ。プライベートビーチは砂浜ではないが、サンゴ礁が広がり、とても快適にシュノーケリングを楽しむこと...
エッセイ

岐阜城に登って

以前、岐阜城に登ってみて気がついた。ここは信長が天下布武を発したところだ。この山城の頂上にそびえる天守閣からの眺めは壮大だ。遠く伊勢湾から桑名、尾張から東には南アルプスがそびえ立ち、西の関ヶ原の向こうには琵琶湖が控え、京都も間近に思える。那...
歴史

天草コレジヨ館

2年程住んでいたスペインの歴史は個人的にとても興味がある。ローマ時代から西ゴート時代、イスラムの征服からレコンキスタの時代、スペインが隆盛を誇っていた大航海時代から覇権を失っていく時代、そしてスペイン市民戦争からフランコ独裁時代、そして最近...
エッセイ

旅の話 エジプトにて

個人旅行では基本自分の身は自分で守らなければならない。だから情報は生命線となる。旅で出会う旅行者と情報交換したり、宿に置いてある情報ノートには食いつくようにして目を通す。しかし、毎日刻々と変化するその国の情勢を知るには、やはり地元の英字新聞...
エッセイ

カラスの話

何年か前の話だ。職場の事務所から外を眺めていたら、一羽の鳥が飛んできて、そのまま木に激突して落下した。鳥とは思えぬ下手な飛び方に、何が起こったのかなと外に出た。木の下には、一羽の子ガラスがうずくまっていた。初めて、空を飛んだのだろう。しかし...
エッセイ

尾道の思い出

10年も前になろうか。尾道の坂道を歩いていたとき、ある神社で出会ったおばあさん。神社でぼーっとしていたら、おばあさんがやって来て、境内を指しながら、「この辺はきれいになったねー」と。「はあ、そうですか?でも、自分は旅行中なので前がどうだった...
歴史

道元と瀬戸焼と肥後川尻の地

加藤四郎左衛門景正。通称 藤四郎。号は春慶。瀬戸焼の開祖だ。先日博物館で室町時代の茶道具を見て思い出したのだが、数年程前に熊本市の図書館で川尻町史(川尻は熊本市南区にある地名)をパラパラと読んでいた時に発見した一文が興味深かった。加藤景正は...
観光

酒田市 土門拳記念館

鶴岡駅を14時23分に出発し、酒田駅には14時41分に到着した。酒田は土門拳記念館に行くのが目的だった。酒田にはるんるんバスというのが走っているのだが、この時間、土門拳記念館に行く便は適当なものがない。駅前の観光案内所に行くと、レンタル自転...
観光

羽黒山参詣

前日の夜に東京へ飛び、朝1番の上越新幹線、JR羽越本線特急いなほ号と乗り継ぎ、山形県鶴岡駅についたのは、朝10時16分のことだった。新潟のどこまでも広がる田園風景や、日本海の美しい景色を眺めながらの列車の旅だった。鳥海山鶴岡駅鶴岡駅に近づい...