1997年9月10日(水) Sharm el Sheik ⇒ Hargada 晴れ
朝9時のバスでスエズに向かう。ずっと左にスエズ湾を眺め、右にはシナイ半島という砂漠の土地を進む。たまにヤシの木をはじめとする木の生い茂ったオアシスを通る以外は、いくつかの町が点在しているくらいだ。この死の世界のような砂漠にあって、オアシスは文字通りオアシスだ。緑というものは本当に美しものだ。砂漠の中ではひときわ目に眩しい。
残念ながら、スエズ運河はトンネルを通ったので、運河を直接見ることができなかった。しかし遠くから見ても、運河に沿って緑の帯が出来ており、ひとめ見てそこに豊富な水があることがわかる。
スエズの町が近づいてくる。多分第3次中東戦争で破壊されたのか、廃墟となった家々が並ぶ。町に入ると、その汚さに目を覆いたくなる。道端には声にならないほどのゴミの山。とにかくどこを見てもゴミだらけ。ゴミの中で人々は生活している。耐え難いひどさだ。ここまで汚い街は本当に初めてだ。
1泊する予定でいたが、ハルガダまで行くバスがあるか聞きに行ったところ、別のバスステーションから出るということで、シャルム・シェイクから同じバスに乗っていたニュージーランドからの老夫婦と一緒にタクシーに乗り、バスステーションまで行くことにする。14:45頃にスエズに到着していたが、バスステーションで食事をとり、16時の便でハルガダへと向かう。
スエズ湾には大きな船が運河の順番待ちをしているのか、たくさん浮かんでいた。ハルガダへの道は、またもひたすらに続く砂漠だった。遥か彼方の地平線まで砂漠が続いている。日差しが強烈だ。こんなに厳しい自然環境で生きていれば、気性が荒くなるのもわかるような気がする。またこんな環境の中、女性が外に出て野良仕事をするなどかなり厳しいのではないか。必然的に男が厳しい環境下で仕事をし、女性が家にいるというライフスタイルが続いているのも、ある意味では仕方のないことではないか。そう思わせるほど、ここの自然は厳しい。
夕陽が、砂漠にくっきりとした陰影を創り出し、素晴らしい景色を見せてくれる。夜になると、月が砂漠を照らし出す。これもまた美しい。そして砂漠の夜空は格別に美しい。
途中、風力発電の風車が限りなく続いている場所を通る。砂漠は風が強い。その力をエネルギーに変換すれば、相当なエネルギー量となることだろう。
ハルガダには21:30頃に到着する。アルファベットの看板がネオンに輝くようなツーリスティックな土地だ。ニュージーランドの老夫婦とタクシーをシェアしてホテルに行く。着いたホテルは、バストイレのある部屋がないので、老夫婦は別のホテルに行ったが、僕らはこのホテルに泊まることにする。
夕食は久しぶりに韓国料理を食べる。Hot sour soupとビビンバを頼む。ハルガダに来た目的は、ひとつには大好きな韓国料理を食べたかったからだ。高いが仕方がない。韓国人女性が料理した本場のビビンバやキムチは本当に本当に美味しかった。やはり韓国料理は素晴らしい。高かったが心底満足する。
しばらく散歩する。両替屋に聞いてみると、トラベラーズチェックのレートが3.38でノーコミッションだという。まさか手数料無料のところがあるなんて知らなかったので、これまで損したと残念に思う。旅人の情報も時には裏目に出ることもあるようだ。エジプトではトラベラーズチェックは無茶苦茶にレートが悪いという情報は、完全にガセだったではないか。
この町は日本人が多いようで、あちこちで現地の商売人が“こんにちは”だとか、“さらばじゃ”などと声をかけてくる。いちいち反応していたらとてつもなく疲れることだろう。
エジプト人はとてつもなく運転が荒い。人が歩いていても、車は飛ばして、人すれすれのところを走り去っていく。とんでもないところだ。
歩いていたら、ホテルのすぐ近くで結婚式のパーティーが開かれていた。バンドが演奏し、大勢の人が踊っていた。よくもアルコールも飲まずに、あれだけ盛り上がれるものだと感心する。なかなかにバンドがうまい。それに合わせて大人の女性以外が踊り狂う。これまで旅してきた中東で、ここまでノリの良い国民を見たことがない。やはりアフリカなのだろうか。ベリーダンスを踊る男性が舞台に出てくる。動きが軽快で、ユーモラスに体を動かしている。音楽がまた楽しくて、このユーモラスな踊りと相まってとても楽しい。音楽もこれまでのアラブの音楽の重々しさに比べると、リズミカルで明るい印象だ。楽団のファッションがキューバ人のようだ。子どもも大人も踊りが好きでしかたがないようだ。ただ、大人の女性だけはリズムひとつとらずにずっと座っている。心の中では踊りたいのだろうが、習慣がそれを許さないのだろう。こんなに夜遅くに、こんなにもすごい音量でパーティーを開いていても、誰一人文句を言わないのだろう。こんなところも南米にそっくりだ。多分、お金持ちの結婚式なのだろう。盛大なものだった。だが、日本と違って、食事は出ていないようだった。もうひとつ、大きなおじさんが、白いガラペーヤ(民族衣装)を着て、鞭を持ち、この上なくうれしそうに笑いながら楽しく踊っていたのが印象的だった。
ホテルに帰り、シャワーを浴びようとしたら水が出ない。まったくひどいホテルだ。そのうえ電球も切れていたので替えてもらった。さらになんとゴキブリが飛んできて、妻はパニック状態。見た目は清潔そうなホテルだが、人の手が触れるところに手垢がついていて、その汚さに滅入ってしまう。どうもエジプト人は衛生観念がないようだ。お腹をこわさないに気をつけないといけない。また、ハエが多いのにも辟易させられる。
本日の支出 約31.6USD

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